地位

「メーカにおけるソフトウェア開発者の地位」について考えてみる。
近年の電化製品とか装置ってマイコンが搭載されていて、先にハードウェアが出来て、次にソフトウェアをつくると言う流れは変わらない。もちろん、試作などにおいてはソフトウェア開発が先行することはあっても、やはり完成品を出荷する直前まで性能向上・機能改善に努めるのはソフト担当者だろう(まあ出荷してもサポートはソフト担当の割合大)。大抵、納期が近づくとハード担当者は「まだソフト出来ないの?」なんて聞いてくるが、元々スタートの段階から、相手先の要求仕様が固まらなかったり、営業への発注Goの決断が遅れたり、納期のかかるハードを性急に作ってしまっために不具合が発生するとソフトでカバーしなければならなかったりでしわ寄せは大きい。そのため、納期間近に急遽ソフトの開発人員を増やすわけだが、正直、その人を教育する工数がとられる分だけ自分の仕事がすすまない。はじめから人を渡してくれれば、あらかじめ教育フェーズを組んでおくのに、、、
とくに私の部署は、ソフト担当者みずから半田ごては握るし、ハード構想設計段階で口を出すし、ときには部品の発注業務まで任されていて、出来ることが増えて多方面に関与できるが反面、本来業務とはなれたところの負担が大きいと言える。さらにひとことでソフトといっても、組込みソフトのドライバや各種機能、上位PCのドライバとテストアプリや出荷検査アプリ、ときにはさらに上位のネットワークやサーバーまで面倒みるケースもある。会社は、「効率をあげる=一人でできる範囲を広げる(セル生産)体制」というが、実のところ、それは効率アップというよりコストダウンが目的だ。そのため、もしも担当者が倒れれば、(私は設計メモを残しているので仕事は止まりはしないが)完成が2ヶ月以上は遅れるのは間違いない。
以前、関係会社のソフト担当者と話したが、その人は半田ごてを持ったことはないしソフトもPCアプリのみと、担当範囲はずいぶんと狭かった。おそらく、「効率をあげる=分業体制」という仕組みが徹底されているのだろう。儲かっている部署はこれでいい。これは、納期に対するリスク管理意識の高い(というか、訴訟社会の)アメリカで流行っているスタイルだ。ただ、これだと誰でも代わりが出来る分、ソフト担当者はまさしく「下請け扱い」で、個の発言力が低くなりがちだ。つーことで、モチベーションやモラル低下で、他所のN○○とかのシステムソフト会社で個人情報を盗み出して流出するとか、きちんとセキュリティ対策しないとか問題になってるんじゃないか。
だから「ソフト開発者」といってもいろいろだ。トップはそこらへんを理解してまとめようとしているのだろうか。
そーいえば、うちの会社のエライ方は、「マイコン以前」のひとが多く、ハードか営業畑のひとばかり。ソフト開発者の地位向上はもうすこし先ってこと。