造形の精度の話

これまたカンファレンスであった質問。

  • 「この頭部はどうやってキレイに仕上げてるんですか?」 →後述
  • 「頭部の造形はソリッドな感じしかつくれないんですか?」 →否


2009年9月製作のガンダムヘッドが写真の奥、2010年3月製作のガンダムヘッドが手前です。
新しいガンダムヘッドは表面に凹凸がなくツルツルピカピカです。この2つの違いは「やするノウハウの差」になります。

やする前は同じ状態ですから


3DプリンタのCupCakeCNCは、熱で溶かしたABS樹脂を0.5mm径のノズルから垂らしながら積層してつくる仕組みです。

2009年の方は、ガンダムヘッドの表面にのこった積層の縞状の凹凸を消すために、ペーパーやすりをかけたのですが、聞きかじった情報よりもABS樹脂が硬くて、押さえつけた親指の方が損傷してしまいました。そのため表面全体を「パテ革命すべすべ」というパテを薄くもることで凹凸を隠しています。しかし、いかんせん”左官屋”スキルがなくてよくよくみるとでこぼこが隠しきれていません。ROBO-ONE16thに間に合わせるのでこれが精一杯でした。

ROBO-ONE16th以降、電動リュータの使い方と、やすりのビット形状・数種の粗さ・工程のノウハウを詳しい方から学んだことで、2010年の方の縞状の凹凸をきれいに仕上げできるようになりました。さらに色つきを良くするための「サーフェイサー」を吹き付け、目立つヘコミは液パテで埋めて、そのあとに白スプレーを吹き付けることで、新しいガンダムヘッドはきれいに仕上げてあります。カンファレンスに間に合わせたかったので、今回はきゃのんさんに手伝ってもらいました


ガンダムの頭部は、三角と四角の面(ポリゴン)で構成される3次元のポリゴンデータとしています。
ポリゴンデータの世界においては、球面を表現する場合、6面体→12面体→24面体のように構成する面を小さくすればするほど曲面のようにみえます。つまり、面数を増やせば増やすほど、ソリッドな感じから曲面の感じになります。

今回は、ペーパークラフト3Dプリンタでデータを共用しているため、面の大きさはペーパークラフトで折る(最低でも4mm幅は必要)のに適当なサイズで構成しています。ただし、3DプリンタのCupCakeCNCで出力したあとやすりで表面を仕上げることから、ソリッド感は緩和されると見ています。

最初からペーパークラフトでなく3Dプリンタで出力すると決めているのであれば、ポリゴンデータの構成面を小さくして曲面を強調すればよいと思います。
さらにきゃのんさんの3/5日記にあるとおり、0.3mmノズルを検討されているようなのでより微細な成形・表現が可能になるでしょう。実験結果が楽しみです。