ロボット制御工学

ちょっと前に発売されたのは知っていたのですが、ようやく今日買ってきました。

ロボナブルに連載されていた「勝手に制御分析!あのロボットはどう動く?」を加筆・修正したものです。
この本は、いまだ非現実性の存在であるスーパーロボットを動かすには、どのようなロボット制御理論が内部で動いているべきかを、オブラートにつつまずに、数式や理論を排除しない方針で書かれています。
記載されている数式などの理論は、大学の運動力学やロボット制御工学で学ぶような内容で、本来ならば2年くらいかけて習得するものです。さらに理論だけでなくロボット製作やシミュレーションのプログラミングまでを実技として学ぶなら、それでも足りないでしょうから、卒論や修士論文にすすむことになるでしょう。
そのくらいの分量が圧縮して詰め込まれているので、読者の方は初見であきらめることなく「ロボット制御工学分野にすすむと、こういうものを学ぶんだ」「今は理解できなくても、いずれできるようになるさ」くらいのつもりで読むといいかもしれません。

入手困難かもしれませんが、高校生以下向けの読み物としては、もうすこしとっかかりのよいこれら本を先に読むのがおすすめです。

巨大ロボット誕生

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解剖!歩くASIMO 二足歩行ロボット・アシモ 歩行システムの秘密

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史上最強のロボット!(ナレッジエンタ読本20)

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「あのスーパーロボットはどう動く」の序論より引用。

やはり、スパロボは非現実的なのでしょうか。スパロボではオーバーテクノロジーが前提となっていることが多いですから、オーバーテクノロジーが実現しなければスパロボも実現しないのかもしれません。しかし、だからといって、オーバーテクノロジーの非現実性を笑い物にしたり、スパロボすべてが非現実的だと切って捨てたり、非現実性から目を背けて「ロマン」に逃避したりするのは、少なくともロボット工学者である筆者にとっては真っ当な態度ではないように思います。
(序論より引用)

「現実にはあり得ないような空想の要素」の部分を熱く語っていること自体、スーパーロボットに惹かれていること自体が「ロマンの産物」じゃないかなと思いました。
あと、文中で扱っているロボットの世代が、アトム、マジンガーガンダムパトレイバーなど飛びまくっていたり、途中でジョジョネタが入ったりとロボット以外にまで話題が飛んだりするので、若年層を狙っているのなら「20世紀のスーパーロボット解説」とか「このネタのどこがおもしろかというと、、、の解説」といった、読み手の感情移入を助けるところに、もう少し誌面を割いたほうがよい気がしました。